「陸でも立って歩く」と評される「明石ダコ」
明石海峡の速い潮流に耐えて育つタコは、その歯ごたえと旨みが特徴なんです。
「海峡で育っている分だけ噛みごたえはあるけどね。」(買い物客の男性)
「明石のタコでたこ焼きしたら、めっちゃおいしいと思うけど…」(買い物客の女性)
明石市ではマダコの水揚げ量全国一を誇ってきましたが、今年の記録的不漁で、地元の漁協によると夏の漁獲量は前年に比べおよそ1/5。その栄冠は危機にさらされています。
「タコの入手ができないから泣く泣くお休みしているんですよ。」(かまぼこ店 店主)
明石に本店を構える老舗のすし店では、通常、明石ダコを使った料理を出しているんですが、不漁の影響で明石ダコに食感などが似ているもので代用しているんです。
「良いものがなかなか手に入らないということで、
香川県のタコをごくいっときの時期だけだと思うんですけど、使わざるを得ない」
(明石菊水 楠代表取締役)
明石のマダコはどれだけ不漁なのか。東二見漁協のタコツボ漁に取材班が同行しました。
「ことしが一番少ないんちゃうか。ひと筋に大体50個やねん。50個で今やったら10匹おったらいいとこちゃう?それも小さいタコがな。」
(東二見漁業協同組合 西尾理事)
この危機的状況をなんとかしようと、東播磨底曳網漁業協議会は、9月中旬から10月にかけて22年ぶりに子持ちダコを放流。また、漁の禁止エリアや期間を新たに設定して、100g以下のタコは海に返すよう呼びかけています。
「タコ漁に出れない船もあった。『油代がもったいない』といって。夏の間一回も5~6杯出ていないからね。
地元のタコを買って放流しようということになって。タコはあんまり放流とかしてない。ことしも会合して来年から続けていこうかという話になっている。」
(東播磨底曳網漁業協議会 竹本会長)
記録的な不漁となった理由について、専門家に話を聞くと…
「これが100%の原因だというわけではないのですけれども、原因のひとつとして考えられているのが、この冬の水温が低かったこと。
あまり低くなりすぎると、活動しにくくなるとか、餌を捕りにくくなるとか、極端な場合死んでしまう。」
(兵庫県立水産技術センター 長浜研究員)
消費者にも徐々に影響が出ている明石ダコの不漁。これからタコにとっても過ごしやすい冬を迎えることができるのでしょうか…