水産業界大注目、数秒で魚の鮮度が測れるという機械を取材しました。県内企業の底力、見れば納得です。
色艶輝くお造りに、みんな大好きなお寿司。そう、魚は鮮度が命。とは言いますがその見分け方は?
【買い物客】
目が赤くなってないかどうか…
鮮度が良いと目の輝きがいいでしょ。
色?光?大きさ?
え~正直焼いてしまったらわからない…
もし、魚の鮮度を果物の糖度のように測れたら?
それを実現した企業が明石市に。
老舗の計量器メーカー大和製衡です。
開発者の一人、岡部修一さん。
【取材スタッフ】
魚の鮮度を測れる機械があるというふうに聞いてきたんですが…
【大和製衡 岡部課長】
はい。それはこれです。フィッシュアナライザです。
くびれが印象的な真っ黒なボディ。底には銀色に輝く突起物。
これが今、水産業界大注目の魚の鮮度計、フィッシュアナライザです。
早速その実力を見せてもらいましょう。
【大和製衡 岡部課長】
上からマダイ、ゴマサバ、マルアジ、サンマ、です。
では、マダイから測ってみます。これは、脂のり5%で鮮度はA、非常に新鮮という結果です。
銀色の突起物を魚に当ててボタンを押すだけ。5秒もせずに判定が。
鮮度はA´(ダッシュ)からDの5段階で表示され、B以上ならお造り以上の生食、C以下なら調理 して食べるのがオススメとのこと。
測定できる魚は20種類。よく鮮度の判断基準といわれる艶も目の色もほとんど変わりがないように 見える2匹の魚もフィッシュアナライザにかかれば傷をつけずにこの通り。
脂ののりと鮮度の違いがはっきりとわかります。
気になるその仕組みは-。
【大和製衡 岡部課長】
弱い電気を流して鮮度測定しております。鮮度が落ちるとどんどん水分が出てきますので、電気が流 れやすくなると鮮度が落ちてるという印になります。
電気を通す水の特性を生かした発明品。一度冷凍した魚も一発でお見通しです。
さぁ、この優れもののお値段は?
【大和製衡 岡部課長】
15万円です。基本的には業務用で専門の方向けの商品となっております。
はかりの専門メーカーとして、100年近い歴史を誇る大和製衡。
フィッシュアナライザが生まれたきっかけは10年前。国の研究機関から来た一本の電話でした。
【大和製衡 岡部課長】
ある日突然「魚の脂肪計を作ってくれ」と。これが元となった犬用の脂肪計になります。
岡部さんら開発メンバーは既に販売していた犬用体脂肪計の技術を応用し、魚の脂肪を測ることに成功。
2015年に発売すると水産業界で話題に。昨年、鮮度を判定する機能が加わったことで客観的に魚の価
値がわかると評判はさらに広まり、これまでに700台が売れています。
【大和製衡 岡部課長】
一般家庭への販売は今のところないのですが、稲美町のJA兵庫南のにじいろふぁ~みんで鮮度に応
じたシールを貼って発売しています。
フィッシュアナライザが効果を発揮している場所は明石市内にも。
明石浦漁港で次々と黒い箱に詰め込まれていくのはスズキやタイ。
おおっ、フィッシュアナライザ使っていますね。
【明石浦漁業協同組合 宮崎さん】
(フィッシュアナライザで測定)6%というのは良いですね。平均が3%、悪くても2%、これは いいのを選んでいるのでこれは特選品ですね。
フィッシュアナライザの開発に協力している明石浦漁港では、およそ2年前から、脂ののりが一定以 上を示したスズキとタイを特選品として出荷しています。
【明石浦漁業協同組合 宮崎さん】
これで測って数値化することによって、料理店からも評価が高い。自信を持って出せますね。クレームもないです。
岡部さんたち開発者と漁師たちが協力し、試行錯誤の末に導き出した最高の出荷状態。
犬の体脂肪計から進化した魚の鮮度計は今、特産品の価値を高めるという効果をもたらし始めています。
【大和製衡 岡部課長】
魚がすごい好きになりました。どんどん活用して頂いて魚のブランド化や品質管理に役立てていただきたいなと考えております。