沈められていくのは、大きな鋼製の構造物。1月12日(土)から南あわじ市にある沼島の沖で、鋼製の人工魚礁 計20基が沈設されました。
海洋状況表示システム (https://www.msil.go.jp/)を加工して作成
このエリアは水産生物の生息場所として重要な藻場や岩場が点在し、回遊魚が滞留する海域であるほか、マアジやマダイの生息場となっています。一方で、漁獲に適した天然礁や魚類の隠れ場の不足といった課題がありました。
そこで、既存の人工礁や天然礁を相互につなぎ、マダイなどをはじめとする魚類の保護育成や水産資源と漁業生産の増大を目的に、増殖場造成事業が進められています。
<沈設している人工魚礁の1つ(B‐8C型:幅5m×奥行5m×高さ2m)>
この日沈設されたのは、都市型鉄鋼メーカーの中山製鋼所(本社:大阪市大正区)の人工魚礁で南あわじ市にある阿万鉄工が製作しました。
<中山製鋼所 海洋エンジニアリング部 吉原宏一さん>
Q.製品の特長について
弊社はスリースターリーフというブランドで主に魚礁、増殖礁、藻場礁、産卵礁製品を展開しています。
弊社では沈設後にある程度の期間をおいて水中ドローンやダイバー潜水といった方法でどのように魚が礁を利用しているのか調査し、その知見をいかして地域ごとに異なる事情や要望にあった製品の開発を行っています。今回沈設したB-8C型は「増殖礁」にあたり、魚を増やす(増殖)ことを目的としています。天端部に自然石を取り入れて餌料強化を図っており、石詰部の下部や礁の傾斜にあたる鋼板部は陰影効果を生み出し、外敵から身を守る小魚の逃避場や幼稚仔保護・育成といった機能を持つ複合施設になっています。更に、近年問題となっている海洋プラスチック問題に影響しないものとなっています。
<洲本農林水産振興事務所 水産課 山口瑞紀さん >
Q.期待していること
今回の漁場整備事業のねらいは2つあります。1つは、メバル、カサゴ、マコガレイ、マダイなどの定着性の強い魚類資源を増やすこと。2つ目は、ブリなどの回遊魚や「沼島のキアジ」として有名な瀬付きマアジを周辺に集めることです。
Q.今後の計画や展望
沼島周辺には、魚の生息に適した天然の磯、藻場が点在しています。これらと過去に造成した魚礁や増殖場が一体となって最大の効果を発現するよう、今後も漁業者の意見を聞きながら漁場整備を行い、さらなる水産資源の増大と漁業経営の安定につなげたいと考えています。
兵庫県ではつくり育てる漁業を推進しており、水産動物の種苗の生産及び放流、また育成にも力を入れています。豊かな海を未来へつなぐための取り組みに引き続き注目です。
◆関連リンク
中山製鋼所 https://www.nakayama-steel.co.jp/
海洋エンジニアリング部 https:/www.nakayama-steel.co.jp/marine_engineering/