先日、ポートアイランドにある神戸市水上消防署に行ってきました!
消防署の1階には、消防艇『くすのき』の模型や、消防艇『たかとり』の紹介パネルなどの展示があり、そのかっこいい姿に興味津々!(※消防艇〈しょうぼうてい〉:海上や沿岸での火災や災害に対応する船)
そして”海の消防士”である神戸市水上消防署の消防艇小隊は、発隊から今年で75年という節目を迎えます!
この記事では、海の安全を守る”海の消防士”のお仕事や、かっこいい消防艇について、沢山ご紹介します!
“海の消防士”について 消防艇小隊のお仕事
消防艇の隊員は、全員が消防学校での教育訓練を修了した消防士で、陸上の消防隊や救急隊、救助隊や特殊災害隊、査察係等での勤務を経験し、消防艇小隊に配属される隊員もいます。
海技士免許や小型船舶操縦士免許の他、海上特殊無線技士などの資格を持っています。
(※海技士免許〈かいぎしめんきょ〉:大型船舶に船舶職員(船長、航海士、機関長、機関士など)として乗り組むために必要な免許)
そして、災害の種類にもよりますが、水難事故へは消防艇小隊だけでなく、陸上部隊や航空部隊と情報を共有するための「指揮隊」と、潜水隊員で構成される「水難特別救助隊」も乗船し、災害現場へ向かいます。
●指揮隊
災害状況や被害状況の情報収集を迅速に行い、主に無線を用いて様々な部隊が効率的に動けるように指揮を執ります。
●水難特別救助隊(通称WSR=Water Search and Rescue)
水難救助に特化した部隊で、神戸市で起きる全ての水難救助事案に出動します。
救命ボートや水中ドローンなどの特別な資機材を使い、水の事故に立ち向かいます。
全ての隊員が潜水士の資格を持っていて、海底に沈んでしまった人の捜索救助や、水没した車両からの人命救助など、難しいシチュエーションにも対応できるよう、様々な訓練を積んでいます。
水の事故に関して神戸市消防局で彼らの右に出る者はいない、まさにスペシャリスト集団。
また水難救助だけではなく、火災、山岳、交通事故など様々な災害に対応でき、能登半島地震でも活躍しました。
“海の消防士”が使用する 特別な資機材
●水陸両用バギー
不整地、雪上、水上で走行することができ、災害現場において、車両が走行できないような現場で人員搬送や資機材の搬送に使われます。
●高機能救命ボート
台風や豪雨による風水害現場で、住宅などに取り残された人を助けに行くことができます。
●水中スピーカー
潜水活動の際に、陸上からの指示を水中で聞き取ることができます。
●水中ドローン
潜水隊員と協力して活動することにより、より早く要救助者を発見することができます。
神戸港全域を守る2隻の消防艇
現在、神戸市水上消防署には、消防艇『たかとり』と『くすのき』の2隻が配備されています。
●消防艇 『たちばな』
1950年、消防艇小隊の発隊に伴い、初代消防艇 『たちばな』 が就航しました。
当時は19.69tの木造船で、就航後すぐに兵庫突堤「国際倉庫」の火災に消防艇として初出動しました。
消防艇『たちばな』の名前は、初代の消防艇から4代目の消防救命艇まで67年間受け継がれましたが、2017年、最新鋭消防艇『たかとり』の就航に伴い、その歴史に幕を降ろしました。
●消防艇『たかとり』
2017年、最新鋭消防艇『たかとり』が、就航しました。
全長24.5m、総トン数46トン、最大出力29ノット(時速約54キロ)、最大搭載人員19名、毎分16,000ℓの放水が可能な消防ポンプを1基備えています。
『たかとり』 の名前は、市民による投票によって選ばれました。
由来は、『高取山(たかとりさん)』 として市民に親しまれている神戸市長田区にそびえる山の名前です。
高取山は、古くから船舶の航行の目印とされ、漁民や航海者の安全を守る守護神が座する御山とされてきました。
●消防艇『くすのき』
消防艇『くすのき』は、1942年に兵庫県警にて建造されました。
全長18.5m、総トン数19トン、最大出力26ノット(時速約48キロ)、最大搭載人員15名、毎分5,000ℓの放水が可能な消防ポンプを2基備えています。
消防艇 『くすのき』 は、消防艇として現在で4代目となり、消防艇 『たかとり』 と共に神戸港を守っています。
火を消すだけじゃない!消防艇が行う様々な活動とは!
消防艇 『たかとり』 、『くすのき』 は、神戸港を中心に海上や沿岸地域でのいろいろな活動を行っています。
・船舶火災、沿岸の危険物施設や建物等の火災に対する消火活動。
・海上や沿岸地域における迅速な救急・救助活動。
・火災の消火活動にあたる消防車などへの、海水を利用した消火用水の大量補給。
・災害時などの医療・救援物資の搬送。
・海上における油漏れなどの処理活動。
・花火大会や海水浴シーズンに伴うパトロール活動。
・外国客船などの神戸港への出入港の時の歓送迎放水活動。
歓迎放水!神戸港と消防艇の威信をかけた “おもてなし”
皆さんもご存じのとおり、神戸には国内外から沢山の大型豪華客船が入港しています。
その際に、海路はるばる神戸を訪れた人々と共に航海の無事を祝い、「どうぞ神戸を楽しんで下さい」という、神戸港と消防艇からの“おもてなし” の心を表して歓迎放水を行います!
そして、この“おもてなし”には、「神戸港寄港中の貴船の安全を守ります」という、消防艇とその隊員たちの決意も含まれます。
歓迎放水の実施が決まれば、船長をはじめ消防艇の隊員たちは、出迎える客船の大きさ、入港予定時刻、予定航路等を調べ、どの角度、どの圧力で放水すれば一番美しいのか、当日の天候、風向、風力も予想して、事前に打ち合わせを行います。
吸い上げた海水を鮮やかな青や赤に彩った『カラー放水』を行うことも。
この着色液は、周辺環境に配慮し、食品や化粧品にも使われる粉末状の染料を、毎回、隊員達が水に溶かして手作りしています。
最後に
この記事を通して、”海の消防士”のお仕事や、消防艇について、新しい発見はありましたか?
神戸にとって大切な海の安全は、沢山の訓練を積んだ隊員たちに守られています。
そして海だけでなく、陸上での災害時にも活躍する”海の消防士”。とてもかっこよくて頼もしいですね。
機会があれば、是非訪れてみてください!