瀬戸内に春の訪れを告げるイカナゴのシンコ漁について兵庫県は、今シーズン県内では「ほぼ漁獲が見込まれない」とする予想を2月19日に発表しました。
「春告魚」と呼ばれ、瀬戸内海の春の味覚「くぎ煮」で親しまれているイカナゴの稚魚「シンコ」は、2017年から深刻な不漁が続いています。かつては1万トンから3万トンあった漁獲量は2017年に1001トンになり、2020年には142トンに激減。2021年以降も1000トン台が続いています。
兵庫県水産技術センターは19日、播磨灘と大阪湾、紀伊水道の3海域での2024年のイカナゴのシンコ漁の漁獲量が平年を大きく下回る予報と発表。8年連続での不漁予報で、中でも播磨灘と大阪湾は、年末から年始にかけて実施した調査で採取した稚魚の数が過去最低だったということです。センターは、漁業者らに対し「漁の期間の短縮などを検討してほしい」と呼び掛ける他、シンコ漁を持続可能なものにするために資源管理に取り組むとしています。
兵庫県では、深刻な不漁の要因の1つとして考えられている「栄養塩不足」を改善するため、ため池の底にたまっている栄養塩たっぷりの泥水をポンプを使って海に流し込む「かい掘り」や、爪がついた器具を海に沈めて船で引っ張り底を掘り起こすことで、堆積した砂や泥の中にある窒素やリンを海中に放出する「海底耕うん」などの取り組みに力を入れています。
海と日本プロジェクトinひょうごでは、豊かな海を取り戻すための活動に、今後も注目していきます。